百と卍 6巻
「あの貌(かお)」を再び目にしたのは、寒凪(かん なぎ)の船上。
千(せん)が亡き恋人ーー億政(おく まさ)の亡霊かと見紛(み まご)うた
その男は、船頭の兆(きざし)。億政の双児(ふたご)の兄であった。
同じ貌(かお)なのにまるで違う。
そのすべてが千をいっそう苛立たせ、惑わす。
千に心奪われ、
身を焦がすほどの恋心に悶える兆もまた、
決して千に満たしてもらえることのない
淫らに疼く身体の火照りにさいなまれた。
貴方に、愛されたいなんて 思ってはいけない。
けれど、気まぐれに触れる千の掌(てのひら)の熱さは、
兆の心をますます乱してゆきーー。
狂おしき恋情をめぐる執着譚
累計60万部突破の「百と卍」シリーズ
待望の「千と兆」外伝巻!