五臓六腑の恋
夜の街でひっそりと営業する「よもぎ食堂」には、
近くの店で働くホスト達が仕事終わりにやってくる。
とにかく騒がしい彼らにうんざりしていたのが、
店主である“いちろ”の顔に、はっきりと出ていたらしい。
「おにいさん、俺らのこと嫌いだよね?」
ナンバーワンホストだという誠一が、飄々と言い放つ。
いちろが最も苦手なタイプの人間だった。
「でも、手抜きの料理を出さない。アンタの誇りがそうさせない」
けれどたった一言が、すべてを一変させることがある。
なぜか熱くなる頰には、知らないふりをした。
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