用心棒をかって出た不敵な旅商人
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政略結婚から逃げ出した麗しの皇子
第三皇子が嫁ぐらしい。
ついで耳に入ってきた大国の名に、
旅商人・サイの頭には、好色家で有名な国王の顔が浮かんだ。
政治の道具にされたのであろう、哀れな皇子。
その不憫さに少しだけ思いを馳せていた時、
頭上から、「退け!」と焦った声が降ってきた。
―――美しい、その人と共に。
聞かずとも身なりから正体は知れた。
気づかないふりで色々と聞いたのは、この皇子が一体
何を思い逃げ出したのか、興味が湧いたからだった。
切々とした思いに同情したわけじゃない。
しかし気づけば、言葉は口からこぼれていた。
「俺がこの国から逃がしてやる」
頭の切れる従者が見ていたならば、きっとこう言っただろう。
「それを一目惚れというのです」…と。
定められた道にあがき求め合う、運命の逃避行BL!
出版社:シュークリーム